アパレル業界について

業界の動向

古着屋に展示されているレディースの服
国内では健康ブームが広まってランニングシューズやウエアの売れ行きが非常に好調だといいます。
また、ユニクロのヒートテックといった機能性商品がヒット続きであり、国内のアパレル市場は活気を帯びているかのように思えますが、実際は苦境に立たされている企業がほとんどであり、衣料品の落ち込みは相当のものがあります。
リーマンショックの後には一度に12パーセントほど売り上げが落ち込み、2年間で5900億円もの市場を失ったというデータすらあるほどです。
背景にあるのは、消費低迷と価格下落にあります。
さきほどのユニクロを手がけるファーストリテイリングもそうですが、トレンド商品を非常に安価な値段で売るというファストファッションのH&M(スウェーデン)やアメリカのフォーエバー21などの大手外資の参入によって、国内の市場は非常に厳しい状況に追いやられています。
成長分野である通販関連の販売数も減収をまかなうほどの規模ではありません。
平成22年3月現在の業界規模は4兆1,004億円であり、労働者数43,125人、平均年齢36.9歳、平均勤続年数11.1年、平均年収482万円となっています。
海外の衣料大手の進出によって、価格下落が著しかった衣料業界ですが、中国の人件費の上昇や原材料価格の高騰を受けて、価格も下げ止まりというか、底打ちになった感があります。

今後の展望

今後はアパレル業界としては、いかに高付加価値商品を販売することができるかということと、インターネットやスマートフォンといったデジタル関係のインフラをつかっていかに新たな客層と需要を獲得するかということがキーポイントになってくるでしょう。
アパレル業界の中でもスポーツ用品を取り扱っているミズノについては、スポーツ用品の技術をいかした介護服や健康器具へと事業拡大も始めています。
今後のアパレル業界は、こうした市場のニーズにあわせた事業の多角化、新規事業の創出ということが企業価値を高めるのに非常に大切になってくるのではないでしょうか。
また、グンゼは肌着メーカーとして国内屈指の会社ですが、ストッキングの包装用フィルム製造技術を応用して、現在は飲料などの包装用フィルムやタッチパネルの製造も手がけています。
培った技術を応用して他の分野で活用し、活路を見出していくことも、今後の厳しい経営環境の中で企業が存続していく上では非常に大切なことになってくるでしょう。
また、ニッチ市場を開拓してきたことで成功してきた企業もあります。
水中ウォーキング用のソックスを靴下製造大手が開発したり、今後も衣料品に関しては、こうしたニッチな分野でも市場のニーズをくみ上げて、その分野でナンバーワンをとれるということがポイントにもなってきます。
海外に関しては、直営店の運営強化といった販売の強化策がとられている企業が少なくありません。
スポーツ関連でいうと、オリンピックやワールドカップでトレンド、消費動向を探るという点もあり、海外の販売店の直営店を強化しているということもあります。