半導体業界について

業界の動向

むき出しの電子路盤から繋がられたブルーライト
価格競争の激しい半導体業界で、国内企業も再編を余技なくされてきています。
この背景にはアメリカだけでなく、台湾、中国、韓国の大規模投資によるシェア拡大を狙った経営戦略が日本企業に影を落としているといわざるをえません。
実際、半導体に関しては一時期ほど収益構造が良くなく、事業縮小をしている国内半導体メーカーがほとんどです。
平成22年3月の業界規模は7兆2,477億円ですが、この年は売上高純利益率-0.4%、前年比伸び率-8.4%と苦戦を強いられている状況です。
労働者数は244,513人、平均年齢38.9歳、平均勤続年数13.1年、平均年収576万円となっていますが、国内には非常に優秀な技術者もたくさんおり、海外へ流出しないように企業としての人材リテンション戦略も非常に重要となってきております。
ロームなどは自動車やデジタル家電で、顧客の仕様にあわせた大規模集積回路で強みを発揮していますし、半導体製造装置を手がける企業に関しても、世界トップのシェアを握る大日本スクリーン製造など、国内にはまだまだ高い技術力を誇る企業が豊富にあります。
パソコンの需要低迷で一時期は売り上げが落ちこむといった状況でしたが、ここ最近ではスマートフォンや新興国市場の経済成長によって新たに売り上げを伸ばしている会社がたくさんです。
大規模投資による大量生産でこれまでシェアをとり続けてきた国外の会社と比べると、高性能、高機能携帯電話をはじめとするデジタル製品では国内企業が一歩リードしておきたいところであり、また現在躍進中です。

今後の展望

日本企業の強みとしては、微細な先端部品を完成品メーカーをはじめとする顧客の要望に応じてすばやく開発し、多分野に向けて実用化するという開発力と応用力に優れている点といえるかと思います。
成長分野が著しい環境・エネルギー分野においても、ますますの技術力強化がのぞまれている半導体業界なだけに、今後はこれまで以上の多分野に進出することが予想されています。
京セラは太陽光発電でシェアを国内2位にまでのばしており、日東電工は海水を淡水化する処理膜の市場で世界を席巻しているのです。
ただ、東日本大震災の際には、強みとされていたサプライチェーンの事業構造が裏目に出て、業界として多大なる損失を出しています。
東日本大震災、タイの洪水の際には、部品調達が滞り、生産も停止状態となり、
顧客が他の企業に乗り換え、代替生産もできず完成品の出荷停止による信頼低下と受注の激減という最悪の状況を招いたような企業もありました。
ロームはタイの洪水で自社工場の2工場を完全停止せざるを得なく、自動車向けの大規模集積回路の減産に追い込まれ、日産自動車の生産に影響を及ぼす結果となりました。
スマートフォンをはじめとした今後でてくるトレンド商品のシェアを獲得するために、今後は各メーカーの生産拠点の分散化や、危機管理を含めた支援体制の構築は必要不可欠であり、必須命題ともいえるかと思います。