百貨店業界について

業界の動向

晴れた日の街並み
業界第一位の三越伊勢丹ホールディングスをはじめ、景気低迷にあえぐ百貨店業界は衣料品といった高額商品など不振を極めています。
業界規模は7兆5,100億円、労働者数38,195人、平均年齢41.1歳、平均勤続年数17.4年、平均年収543万円ですが、様々なものを扱う百貨店はイベントなどを開催したり、百貨店独自の企画をする楽しみもあることから、特に女子学生にとっては非常に魅力的な就職先として昔から人気があります。
ただ、近年は不振を極め、各社不採算部門のリストラクチャリングを進めており、三井伊勢丹ホールディングスで希望退職を実施するなど、百貨店4社で5000人人ほどの人員整理がなされたとも言われているのです。
業界としては、売り上げ高第一位に売上高一兆を超える三越伊勢丹ホールディングス、二位にJフロントリテイリング(大丸松阪屋百貨店)、続いて高島屋、そごう・西部と4つの企業がメガグループとして君臨しています。

関西圏との競争が激化

地方の不採算店舗を閉めるという取り組みがひと段落した一方、都心部での不採算部門の整理の動きもあり、今後ますます厳しい経営環境に対抗すべく会社様々な建て直し施策を講じていく必要があります。
注目すべきは、関西圏の百貨店競争の激化です。
現在、大阪駅・梅田駅を中心とする「キタ」といわれる地域を中心に再開発が進められており、もともと狭いエリアに老舗百貨店やファッションビル、大型ショッピングセンターがひしめく競争環境にあったものの、
新しい店舗の進出が相次ぎ、その競争状態が激化しています。
大幅なリニューアルも進められており、大阪駅周辺の様相は駅も含めて数年前と比べるとがらりと様変わりしています。
この中で、百貨店同士の共同企画が開催されたり、店舗をメンズ・レディースと分けてそれぞれに独自性を持たせた店舗作りをするなど、各社アイデアある独特の戦略も次々と打ち出されているのです。
梅田駅・大阪駅にはビジネス層が中心となりますので、いかにその顧客層をとりこむかということがかぎになってくるということで、大丸・梅田店などはテナントを積極的に誘致して、子どもに圧倒的な人気を誇るゲーム「ポケットモンスター」の関連グッズを扱うポケモンセンターや、タカラトミーの看板商品「トミカ」の専門店、東急ハンズ、ユニクロ、無印良品など、これまで百貨店にあまり行かなかった層の発掘につとめています。
2011年に完成した大阪ステーションシティは大規模駐車場を備えた大阪キタの再開発事業の一つです。
JR大阪三越伊勢丹が開業し、JR西日本SC開発が運営するファッションビルの「ルクア」は開業時は行列と人だかりになりました。
白を基調とした高級感と開放感あふれる店舗や広い通路、緑の憩いの場が多いなど、ここでも他の店舗とは違った様相を見せています。
なんばを中心とする「ミナミ」には大阪中心部に住む富裕層を常客に持っていながら、この不況の中でやはりリニューアルする百貨店が後を立たない状況にあります。
高島屋も3世代で楽しめる百貨店戦略を打ち出すなど消費者にとっては非常に魅力的な取り組みがなされており、厳しい状況にはあるものの今後の戦略に期待されるところです。