ガス業界について

社会生活基盤として日々の暮らしを助けるガス事業

社会基盤として毎日の暮らしに必要なガスですが、お風呂や調理など生活に密接に関係するエネルギーであることから、ガス事業を営む企業は安定した経営基盤を有します。
日頃は便利さの実感なく過ごしていても、地震災害や洪水などによる不自由な生活をテレビで見聞きするとありがたさを実感できます。

業界の近況は、2016年の春以降、電力続いてガスの小売が全面自由化され、ガス事業に新規参入する事業者が増えており、ガス事業の業界地図にも変化の可能性があります。
各地域を基盤とするガス事業者は電力事業に参入し、電力事業者はガス事業に名乗りを上げるなど、ガスと電力事業者は相互に競争関係が見られるようになってきました。
消費者の急激な移行は起きていないようですが、今後の状況には目を離せないものがあります。

4大ガス会社が大きなウエイトを占める都市ガス市場

ガスの市場は日本全体では約6兆円と言われますが、地域別に大手のガス会社が独占する現状にあります。
関東地方を供給範囲とする東京ガス、関西地方を供給範囲とする大阪ガス、東海地方を供給範囲とする東邦ガス、北部九州地方を供給範囲とする西部ガスという4社が大きなシェアを持ち、全国の約4分の3を占めます。

東日本大震災の影響で、全国で多くの原子力発電所が停止しているため、火力発電のウエイトは高まっており、その燃料としてガスの供給量が増えており、収益は好調を維持しています。
その事もあり、それぞれのガス会社は経営も収益も安定しており、定年まで長期にわたり勤務する人が多い業界です。

業界の今後の成長性・将来性

懸念材料の一つに日本の人口の減少見込みが挙げられます。
ガス業界の市場は国内ですので、日本の人口が減少することはガスの需要の減少に直接影響する業界全体にとっての重要問題です。
また、ガス業界は小売り自由化により、電力事業者にその市場を虎視眈々と狙われる状況です。
自由化ですぐに大きな影響は出ないと思われますが、少しずつ変化していくのは間違いありません。

ただ当面ガスが不要になることは考えられませんので、今後ともガス事業は社会から求められ続けるでしょう。
基本的には価格競争で価格が下がり収益に悪影響を与えるのですが、都市ガス供給する会社は、各戸にガスを届けるガス管網を保有しており、販売が自由化されても、他社はこのガス管を借りる必要があるため優位です。

一方、ガス業界にも自由化を機に大きなチャンスが訪れています。
電力事業を取り込みガスとのセット料金プランを設定したり、ガス器具を用いるキッチンやバスルームを中心に住まいのリフォーム事業に進出したり、積極的に新たな事業に進出する動きも加速するものと思われます。
電力やガスの小売り自由化という大きな事業のターニングポイントをどのように企業の発展につなげるか、真価が問われるところです。

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