消費者金融業界について

底を打った可能性が高い業界

この10年来、縮小が続いた消費者金融ですが、アコム・プロミスなどの大手各社を始め収益が改善する方向にあります。
長年間続く「過払い利息」の返還請求は未だ未解消で継続しますが、貸付残高が増加に転じるなどの回復傾向が見えるのです。
この背景には、人気のAKB48をCMに起用する等の方法で若者の新規申し込みが増えたことがあります。

このような広告の効果が表れ新規顧客がプラスに転じたことが、貸付残高が増加した大きな要因として挙げられます。
各社とも、引き続き新規顧客の獲得に向けた広告宣伝を精力的に行っており、メイン商品の個人向け無担保ローン分野では新規顧客件数を前年比で大幅に伸ばしており、今後も成長が見込まれています。
新規顧客の場合は、1人当たり貸出枠がまだ残っているため、貸付残高の増加に結びつきやすいのです。

広告宣伝費関連では各社とも成功報酬型のアフィリエイトサイトの広告費が急増しているのが特徴です。
それ以外にも、物語仕立てのCMを展開する消費者金融会社や、交通機関での吊広告でも目立つ状況です。

コスト面では過払い利息が不安要因

営業が順調な反面で、コスト要因の過払い金利の返還が減るか否かは見通し難い状況です。
過去10年間で返還した過払い金利は全体で4兆円にも及んだと言われます。
この時効は完済時から10年間と規定されており無期限に続くというわけではありません。
しかし、法律事務所の広告も続き、既に解消済の一部の会社を除き、2017年3月期でも収益を圧迫している会社もあり、すぐに大幅な収益改善は見込みにくい状況が続きそうです。

銀行が消費者ローン分野に積極的に進出

直近10年で、業界の様子は大きく変貌し、最大手だった武富士が退場し、アコムやプロミスはそれぞれ三菱UFJ・三井住友とメガバンクの傘下に入りました。
個人ローンのフィールドには、メガバンクを中心に地方銀行・ネットバンクなどがカードローンに積極的に進出しています。
三井住友銀行は金利水準を他より低く年4~15パーセント程度に設定し、審査時間の短さとともにウリにして積極攻勢をかけているのです。
既に、銀行による個人ローン貸付け残高が、消費者金融専業会社の貸付け額を超えています。

各銀行と消費者金融では対象とする客層が異なるとはいえ、一部では競合が起きているのが実態です。
いかし、消費者金融専業大手は保証業務を行うことにより、銀行のカードローン業務の一部も行うという複雑な収益構図になっています。
近年、消費者金融には貸出額が債務者の年収の3分の一に限られているのに対し、銀行のカードローンにはこの制限が無いことが問題となっています。