小売り

小売業界について

国内の少子高齢化で苦戦が続く小売業界

少子高齢化に伴い進展する人口減少で縮小傾向の見える消費動向や台頭するネット通販との競合により、小売業界は慢性的な収益減少という苦境に立たされています。
その打破のため、例えばコンビニ業界ではファミリーマートがサークルKサンクスを持つユニーHDと経営統合するなど各業界で効率化による業界再編で乗り越えようとする動きが続いています。

近年激しさを増す、コンビニ、スーパーマーケット、デパートの各小売りの3業界のこのような再編の動きを概観してみましょう。
この20年のそれぞれの業界の売上高を見るとデパートは平成3年の9.7兆円を、スーパーは平成9年の16.8兆円をそれぞれピークとして減少傾向を示しています。
3業界で唯一伸びが続いているのは、コンビニ業界で、平成20年にデパートの売上高を超えた後も伸びを続け、平成26年度は10兆円を記録しました。

進撃を続けるコンビニ業界の大手3社

コンビニ業界では、平成21年にファミリーマートがam/pmを系列化してのち、最大手のセブン・イレブン、続く2位はローソン、3位にファミリーマートの順位が続いてきました。
しかし平成28年のファミリーマートとユニーHDが統合したことにより、この順位に逆転が生じ、2位と3位が逆転しました。

このような業界再編は売上高の順位逆転を生むと同時に寡占化が進むことも意味します。
既に1位から3位までの大手3社による寡占化は進んでおり、売上高はコンビニ業界の85パーセントを占めるまでに至っています。
今後も経営統合が進展すれば、セブンイ・ファミマ・ローソンの大手3社による寡占化率は一気に上昇することになります。

スーパーでも統合を進めて対抗

この業界では、コンビニのように大手の寡占化が進むわけではありませんが、イトーヨーカ堂を傘下に持つセブン&アイHDなどが、地域に展開する中小スーパーを取り込みながら拡大を進めてきました。
スーパー業界では、食料品、衣料品、家電など何でもそろう総合スーパー(GMS)が苦戦を強いられています。

これまでは、1つの店舗で全てが揃うことが支持されて出店攻勢がかけられましたが、GMSの売上の減少傾向に歯止めがかからず、イオン傘下のダイエーはイオンに転換するあるいは閉店せざるを得なくなりました。
イトーヨーカ堂においても同様に業態の転換や閉店に追い込まれている状態です。
食料品は別としても、普段着衣料品はユニクロ、家電はヤマダ電機やビッグカメラなど大型専門店での販売が増え、価格面での優位な競争が成り立たなくなったのです。

合併・統合が進んでも苦境の続くデパート業界

平成19~20年を中心に、合併や統合が進められた結果、デパートは三越伊勢丹HD、J.フロントリテイリング(松坂屋)、高島屋、そごう・西武、関西のH2Oリテイリングの5社へ集約が進展しました。
平成27年には「爆買い」に代表される、海外旅行客への売り上げ増という要因もあり、効果の出た年もあるのですが、それでも苦境が続くデパート各社は生き残るために閉店を始めとする合理化施策を打ち出しています。