回転寿司業界について

しのぎを削る大手4社「四天王」

各社それぞれに高い品質を目指したり、オリジナリティのあるサイドメニューに工夫をしたり、何かにつけ話題となる回転寿司業界です。
その中で大きなシェアを占める大手4社は「四天王」と称され、激しく競い合っています。
この業界は過去10年で売上げを50パーセント程度増加させており、2016年の規模は6000億円を超すまでに至っています。

全国に幅広く展開し、とりわけ売上規模の大きな「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」「かっぱ寿司」の4社を「四天王」と呼び激しい顧客獲得競争を繰り広げています。
平成28年の状況を概観すれば、スシロー、くら寿司、はま寿司の3社が売上げを伸ばす一方、かっぱ寿司はマイナスの傾向を示しています。
業界として全体的にみて売り上げが伸びているのは、カレーや麺類等のサイドメニューを増強し、本業の回転寿司の顧客のみならず、他の外食業界の顧客も呼び込めたことも成長の理由の一つです。
また、寿司以外に様々なメニューを取り入れ、労働者層のランチでの利用回数の増や、家族連れなどが利用しやすくなったことも要因です。

業界をけん引する注目株のスシロー

平成28年9月期の売上高は約1500億円弱とシェア25パーセントを占め、店舗数も440強と着実に増やすなど、名実ともに業界のリーダー役の回転寿司チェーンに成長したスシローですが、その特徴を見てみましょう。
最近、各社ともにサイドメニューに力を注いでいるのですが、スシローの特徴は、高品質路線とSNSなどで話題になるインパクトを持ったメニューにポイントをおいている点がポイントです。

とりわけ注目を集めたのは、2016年の夏に期間限定、1日の数量限定で販売されたメロンソーダです。
半分にカットされた器の役目もあるメロンの中に、ソーダ味のかき氷と生クリーム、上に冷凍イチゴが散りばめられ、価格は980円と高めでしたが、山盛りで「まるごと食べるメロンソーダ」と呼ばれました。
他にも、大学生と共同で開発した「地元の特産品を使用したメニュー」など話題性あふれる斬新なメニューを次々に開発しています。
人気店が監修したパンケーキも大ヒットを記録するなど従来と一味違う本格的なスイーツを提供しています。

スシローをベンチマークとしつつもオリジナリティを競う競合他社

「くら寿司」は無添加をウリにしており、全ての食材で、化学調味料や合成着色料などの添加物を徹底して使わないことが特徴です。
レーンを回転する寿司には寿司キャップ「鮮度くん」を被せ、席に使用済のお皿回収ポケットを設置する等して、清潔な環境の維持もアピールしています。
また、サイドメニューなどの種類の多さに力を入れていることも特徴です。

はま寿司は、平日1皿90円とするなど安さを追及し、低価格路線で他社との差別化を図ろうとしています。
サイドメニューではラーメンに開発力・販売力を集中しており、素材から製法までこだわり、本格派ラーメンが人気となっています。
かっぱ寿司は四天王の4社中1社のみ、売上げが減少しています。
その理由に、安価をウリに回転寿司業界を引っ張ってきたのですが、一旦寿司の品質レベルが下がり、その後コストアップを伴う改善を行ったのですが、再びコスト削減の要請に直面しその実施の結果、品質のコントロールが上手くいかなくなったことが挙げられます。