印刷業界について

苦しい状況からの脱出の鍵は新しいニーズへの対応

2冊の白紙のノート
印刷業界は、PCが一般家庭で使用されるようになってきて以来「いつか潰れる」と何度も言われ続けてきた分野といえるでしょう。
ペーパーレス時代の到来で、本や雑誌といった書籍関連の売上が右肩下がりになっていくことが予測されたからです。
ですが実際に一般家庭で1人1台以上使用をするようになった現代においても、印刷業界の企業の多くは生き残り独自の営業を続けてきています。

ただし老舗と言われる全国の印刷会社の多くが倒産や廃業の憂き目にあってきたという事実もあり、今後も事業規模そのものが縮小していくという流れには変化はないものと予想されます。

昨今、印刷業界の苦しい状況を作り出しているのは言うまでもなく電子書籍の登場による一般書籍の部数減少です。
ですが全ての出版物が電子化されるとも考えにくく、今後も何らかの形で紙媒体の印刷物は残っていくことが考えられます。
また、書籍だけでは無く、販売促進物やデザインの分野に活路を見出して生き残りを図る企業も多く存在するのです。

印刷物の低価格化への対応策

印刷業界にとってさらに苦しい現象に、低価格化と発注数の伸び悩みがあります。
具体的には、かつては高級品として使用されてきたグラビア印刷などの高品質の印刷物が使用されなくなってきている現実があります。
またチラシやフライヤーのような低価格印刷物はさらに低価格化が進んでおり、カラーコピー機のような安価で少部数を印刷できる高性能機もまた業界の利益を押し下げる要因となっています。

既に大手印刷企業などは紙媒体に限定しない電子での広告媒体へのシフトをしていたりもしますが、今後はそうした新しい形態の印刷物などにどう対応していくかということと、なくなる可能性の低い安定的な印刷物をどう受注していくかということが印刷会社としての生き残りにかかってくることと思われます。

単に印刷をするという受注方法だけではなく、DTPとして優れたデザインを提供していったり、紙媒体として使用したデザインをWebサイトやその他のデジタル広告媒体に流用したりといったような、アナログとデジタルの両面をマッチングさせたサービスを展開していくことが、今後の印刷業界での重要な業務内容となってきます。

また、ウェブの時代を利用して、BtoCという直接消費者に商品を売る戦略をとっている企業も見られます。
例えば年賀状のデザインを売る、喪中はがきの印刷デザインを売る、といったものが代表として挙げられます。

いずれにせよ印刷業界は、販路を拡大したり、印刷機をデザイン用のパソコンに替えたりすることで各企業が努力・工夫している業界のひとつだといえるでしょう。