造船業界について

先行きは不透明な状況

横浜の港
造船業界の業績を確認してみると、平成17年から20年までは増え続けていましたが、平成21年から減少しており平成25年から更に増加へと上向き加減になっています。
一見すると良い傾向に感じられますが、まだまだ楽観視はできない状況で先行きは不透明といえます。

世界的な状況を確認してみると平成18年には造船受注量が過去最高額を記録しており、主に中国を中心とした新興国による影響を受けて造船業界は上向き加減になっていました。
しかし平成20年に世界各国で同時に不況へと転じたことで造船業界の業績も悪化し始めており、市場規模もほぼ横ばい状態が続いていましたが、平成25年から徐々に回復の兆しが見え始めています。

日本の造船業は世界各国からも評価が高く、世界で第三位のシェアを誇っています。
しかし、供給過剰な状況が続いているため需要と供給のバランスがうまくとれないため今後の先行きはわからない部分も多いとされています。

造船、海運市況について

現在造船市場の動向については中国の経済状況によって変動する可能性が高いと考えられています。
ばら積船が運搬しているのは鉄鉱石が主であり、海上荷動量のうち3割を占めている状況です。
中国では粗鋼の生産量が2002年からの約10年間で5倍近くに拡大しており、世界の中で約半分のシェアを締める生産量を誇っています。
このような状況の中で中国と韓国は造船業の設備拡張を積極的に行い、長い間世界でトップシェアを誇ってきた日本の造船業を追い抜く結果になりました。

中国では粗鋼生産量の世界シェアを約半分も占めている状況なので、鉄鋼業の業績が落ち込むことに比例して海上荷動量も同じように落ち込んでしまうことが予測されています。
このような背景が造船や海運市況のカギは中国が握っていると言える理由なのです。

今後の状況について

造船業界の先行きに関しては不透明と言える状況になりますが、中期的に考えてみると環境問題や資源の有効活用を視野に入れた次世代の省エネ船や、高環境性能船を手がけている会社の技術力が大きなカギを握っていると考えることができます。
世界的にも環境問題に配慮した船のニーズが高まっていることから、独自の高い技術を結集させた造船技術を持つ会社が注目されるのは間違いありません。
中国や韓国にシェアを奪われていた日本の地位を取り戻すためにも、技術力の高さで勝負することも大事です。

今後は造船業に関わる他の業種に関してもしっかりと動きを観察しながら、造船業にはどのような影響を与えるのかをよく見極めることが大切です。
他国の同業者がどのような動きを見せているのかについても確認しながら、素晴らしい日本の造船技術を後世に残せるように努力したいものです。