繊維業界について

業界の動向

カラフルな玄関マット
繊維業界は古くから日本を牽引してきた産業であり、国内でも老舗メーカーが多数あります。
この規模としては、2兆円を有に越えていて労働者数にいたっては4万人、年齢の平均41.0歳、平均勤続年数15.7年、平均年収500万円以上となっています。
平均年齢が高く、平均勤続年数も長いのが、この業界が古くから栄えている業界であるということをあらわしているかと思います。
リーマンショックの後にはこの業界にも最悪期が訪れたわけです。
ですが、需要急減に見舞われた各社はグループ再編や生産拠点の統廃合を進めていき、構造改革も一巡して現在は回復基調にあるといってもいいかと思います。
繊維各社はクラボウ、シキボウといった天然繊維を扱っているメーカーと、帝人や東レのように合成繊維を扱っているメーカーと二つに大別されます。
合成繊維の代表格を言われているのがポリエステル長繊維です。
主に衣料向けの商品であるため、生産拠点を海外に移したり、撤退を余儀なくされているというのが現状です。
今では、各社事業と選択を進めた結果として、三大繊維といわれるポリエステル、ナイロン、アクリルの全てを手がけているのは東レや東洋紡と限られたメーカーのみになってしまいました。
衣料用のものに関しては不振が続いており、リーマンショックの前の半分近くにまで需要が落ち込んでいます。
ですので、今後もこの衣料関係の繊維については、事業を見直すことや構造改革について検討されることが予想されます。

今後の展望

かわりに、現在繊維業界で底堅く利益を出しているのが産業資材や先端材料、環境関連の分野です。
例えば、炭素繊維という軽くて丈夫な特殊繊維は東レ、三菱レイヨン、帝人系で世界シェアの7割をおさえるほどになっています。
アメリカボーイング社の新型旅客機の主要材料として非常に注目されているものであり、国内だけではなく、世界的に誇れる分野として成長しました。
航空業界のほかにも、自動車業界でいうと、自動車各社と繊維メーカーとで提携して共同開発を進めているところもあります。
合繊各社が力を入れている液晶部材といった先端材料については、社内でもかなりの利益率をたたきだすものが多いです。
なので携帯電話や液晶テレビをはじめとしたハイテク機器は今後も成長が見込まれています。
スマートフォンや携帯タブレットなどの新しい市場も拡大しつつありますので、成長が期待されているところでもあります。
ただ、こうした業界については、衣料関係と比べても市場の変化が早く、新しい技術革新がすごいスピードで進められています。
ですので、需要の変動率や求められている技術力についても常に高いレベルになければなりません。
時代の変化についていけない企業は今後は姿を消しかねないという激しい競争社会の中にいます。
その点を踏まえると、業界動向をふまえて的確な経営判断をし、研究開発に関しても力をいれていく。
そして投資をしていかないといけないという事情もあるということを忘れてはいけません。
また、原料となる石油価格も高騰しており、長期的にこの石油価格の上昇が続くと業界全体として厳しい状況になることは間違いないでしょう。
更なるコスト削減が要求されることは間違いないでしょう。